この照らす日月の下は……
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難しい話し合いをしているのか。ミナ達の言う『会議』は長引いているようだった。
「まぁ、それだけキラと一緒にいられるからの。我らとしては願ったり叶ったりだな」
キラを膝に乗せたままミナがそう言って笑う。
「あいつらがうるさいがな」
そう言ったのはギナだ。
「特にカナードが不満を言っているらしい」
苦笑と共にムウがそう教えてくれた。
「まぁ、ラウも似たようなもんだが、あいつは自分の事情を理解していたからまだ我慢できてるが……なんだかんだ言ってカナードはキラとほぼ変わらない年だからな」
そのあたりの分別がつかないんだろう、とムウが言う。
「あれは精神的に少し幼いからの」
甘やかしすぎたか、とミナは首をかしげた。
「あいつはあそこでは最年少だからな。いっそ、本土の学校にでも放り込めばマシになるんじゃないか?」
ムウがそう言う。
「確か、アスハの姫がキラと同じ年だろう?」
面倒見させれば、と彼は続けた。
「……まぁ、考えておこう」
ミナがそう言って笑う。しかし、キラには気に掛かることがその言葉の中に含まれていた。
「僕と同じ年の子?」
アスハにそんな子がいたのか、と目を丸くする。
「ナチュラルだがな。なかなかのお転婆娘よ」
クツクツと笑いながらギナが言う。
「あれはあれでかわいげがあるであろう?」
ミナがそう問いかける。
「まっすぐだから、あいつは」
ムウもそう言ってうなずく。
「もう少しおとなしくてもいいかもしれんがな」
キラのように、と言いながらギナがミナの膝の上からキラを奪い取る。
「ギナ」
「よいではないか。いくら姉上でも独り占めはずるいぞ」
自分も少しはかまいたい。彼はそう続けた。
「仕方がないの。キラ、付き合ってやってくれ」
ため息と共にミナがそう言う
「付き合っているのは我の方よな」
ギナがそう言いながらキラの顔をのぞき込んでくる。
「さて、何をする?」
そのままこう問いかけられた。
「お歌はだめですよね?」
「キラが歌ってくれるならば、いくらでも聞くぞ」
ギナはすぐにこう言い返して来る。
「あぁ、それは良いの」
すぐにミナもうなずいていた。
「こういうかわいらしさがカナードにはないんだよな」
ムウはムウで妙な感心の仕方をしているような気がするのは錯覚ではないだろう。
「男の子は可愛くなくてもいいんじゃないの?」
キラはそう聞き返す。
「やっぱり可愛い方がいいぞ」
「ギナ様も?」
この問いかけにムウは完全に沈黙する。どうやらすぐに返す言葉が見つからないらしい。
「これはキラの勝ちだの」
ミナの笑い声が室内に響いた。